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コウ・ケル小学校開校式に参加しました(2006年1月)
シェムリアップからコウ・ケルへ。道路脇には「地雷原」を示す看板が並ぶ。

 2006年1月10日朝、アンコールワットのある町として有名なシエムリアップから、タイ国境に近いプレア・ヴィヘア州コウケル村に向かった。コウケルとは「歴史ある島」という意味である。太古の昔、カンボジア全土が海だったころ、このコウケル一帯が陸地、つまり島だったという伝説があるそうだ。つまり、この一帯はカンボジアでも高地に位置し乾燥地帯でもある。例年、乾季になると干ばつの影響で河川が干上がり、灌漑や生活用水などに深刻な水不足を引き起こしている。
コウ・ケル遺跡。林の中に数多くの石造りの遺跡が点在する。
 また、コウケルのもうひとつの特徴として、カンボジア人にとっては「由緒ある古都」であることが挙げられる。この村一帯にはアンコールワットを中心とするアンコール遺跡群よりも古い4世紀の古代遺跡・コウケル遺跡が点在し、地元の人によると、その規模はアンコール遺跡より広大な地域にまたがるという。しかし、この一帯は1999年までポルポト派残党の活動地域で度々交戦が行われた。またタイ国境に逃げ込んだポルポト派と政府軍の攻防の過程で、多量の地雷がばらまかれ、現在は地雷原の中に古代遺跡が点在するのである。まさに、コウケルとは「地雷の森に眠る古代遺跡」だ。

 CMACの車に先導され、乾いた赤土の大地を走ること2時間。コウケル村が見えてきた。両脇にはうっそうと木々が繁り、ところどころ地雷原であることを示す赤い印や、地雷除去の終了を告知する看板などが見受けられる。この一帯には約800人が暮らしている。しかし、一番、近い村まで四輪駆動車で2時間。もし、徒歩でこれを往復するとするならば成人でも一昼夜以上かかるだろう。主な作物はバナナや果物。高床式の家で人々は暮らしている。もちろん、この一帯には学校がなく、今回、私たちP-MACの募金で建設された学校が第一号である。
コウ・ケル小学校の子どもたち。

 コウケル遺跡の一部がジャングルの間から見えてきた。これが村の入り口である。さらに車を進めるとジャングルが開け小学校が見えた。沿道には子供たちと村人、およそ200人が私たちを出迎えてくれた。いよいよ開校式が始まる。テープカット後、CMAC代表ケム・ソフォンさん、プレア・ヴィヘア州長、ピースボート共同代表中原大弐の挨拶と続き、最後は記念品の贈呈式となった。子ども達には文房具セット、村人にはクロマー(カンボジア式スカーフ)をひとりひとりに手渡すが、その中にも脚や手を失った人々が多く見られた。
新しくできたコウ・ケル小学校。約100人が通っている。
 人々の状況を聞くと、生活状況は今でも内戦当時とあまり変わらないそうだ。一家族の年収は平均して70ドルという。つまり、一ヶ月10ドル以下の生活だ。村人のほとんどは村から出たことがなく、自国であるカンボジアの政治状況や、もちろん世界で起こっていることは何も知らない。また、いままで学校などはなく、子供たちは重要な労働力として家の手伝いなどに従事していたそうだ。したがって、文字の読める人はほとんどいない。小学校ができた現在は、6歳〜12歳の子ども約100人が毎日学校で勉強している。言葉を教える、日本で言う「国語」の授業ばかりだが、鉛筆やノートなどがないためにひたすら暗記している。

 今後、学校で多くのことを学び、夢や希望をもてるようになってほしいと思いながらも、内戦からの復興はまだまだ長い時間が必要だと実感した。(上 泰歩)
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