イラク邦人人質事件解決に関する緊急声明
〜今こそ、自衛隊なしの復興支援を!!〜

 本日4月15日、イラク武装グループに拘束された3名の日本人、今井紀明さん、郡山総一郎さん、高遠奈穂子さんがついに解放されました。私たちにとっても3名の方々の無事解放はこの上ない朗報です。ご家族、ご友人の皆様に心から喜びを申し上げます。

 この朗報が、ご家族、ご友人の方々の必死のご努力あってのことであることは言を待ちません。しかし、同時に、3名の方々が、全く武器を携えることなく、心からイラクの人々のことを思い、人道支援、平和活動、報道の現場で献身的に活動されてきたこと、そして、米軍によるイラク占領および自衛隊の派兵にも反対の立場を貫かれたことが解放に向けての鍵となったことは紛れもない事実です。

 また、この3名の方々同様、人道支援や平和活動に関わる日本のNGOや市民、ジャーリストらが、国境を越えてさまざまネットワークを活かして早期に行動を起こしたこと、さらに、米軍のイラク占領反対、自衛隊撤退要求の街頭行動やインターネットでのアピールに多くの人々が積極参加したことも解放に向けて大きな役割を果たしました。

 忘れてならないのは、イラク社会、アラブ社会の協力です。犯人グループの暴力に訴えた行動は決して許されるものではなく、引き続き、犯人の逮捕を当局に強く求めます。しかし、一方で、特にイラクのイスラム宗教指導者たちが相次いで3名の解放を強く呼びかけたこと、そしてその呼びかけを含め、ご家族の訴え、日本での自衛隊撤退要求の市民行動を繰り返しアラブ社会へ放送し続けたアラビア語衛星テレビ局アルジャジーラの報道は解放実現に大きな影響を及ぼしたと思われます。

 他方、この事件に対する小泉政権の対応には大きな不信が残ります。首相は開口一番「自衛隊は撤退しない」と述べ、国民の生命より「日米同盟」を優先させることを宣言しました。しかも、この3名の方々の活動は、まさに、小泉首相が自衛隊派遣の大義とした「イラクの人々への支援」であったにも関わらずです。

 今回、流血の事態を回避できたのは、アラブ社会の宗教指導者やジャーナリスト、そして多くのイラクの人々が、米軍のサポートとして自衛隊を派遣した日本政府の政策は、本当にイラクの人々のためになる復興支援を願っている良心的な日本市民の力によって、今だ、変えうるのではないかという期待を持っているからではないでしょうか。武装グループによる人質声明によると「(我々が人質を解放したのは)日本政府の働きかけによるものではなく自衛隊撤兵を求める日本人のデモの動きによるものだ」とする旨をアルジャジーラ放送は流しました。本当の復興支援とはあくまで武器を持たず、イラクの人々の意見と希望を最大限尊重し、彼らとともに共同作業で進めていくべきものだと私たちは考えます。

 3名の方々は無事解放されました。しかし、イラクの人々は今日も米軍はじめとする占領軍の武力行使によって命が奪われています。今回の事件の発端ともなったファルージャでは一週間に約600以上が殺されています。女性、子どもを含む民間人殺戮は決して許されることではありません。このようなことを放置し、言い訳としての「復興支援」を掲げ、このまま自衛隊イラク駐留を続ければ、日本人をターゲットとした第二第三の人質事件やマドリードでの悲劇が日本で起こる恐怖とつねに背中合わせに私たちは暮らしていくことなるでしょう。

 わたしたちは、今回の人質事件から上記のことを学び、以下のことを求めます。

1. イラクからの自衛隊即時撤退
2. 国連およびイラク人統治機構への治安維持権早期移行と米英軍およびその他の外国軍の早期撤退を米政府に働きかけること
3. 復興を必要とするイラクの人々のために、NGOや国連とともに、非軍事的な人道支援活動を開始すること
4. 日米同盟よりも国民の生命を優位に位置づけ、政策決定を行うこと
5. イラクのNGOや市民社会に働きかけ、人的ネットワークを築いて強い連携をつくり、イラクの人々の声を主体にしたイラク社会復興支援に努力すること
6. イラクのファルージャ地域における米軍による多くの女性、子供を含む民間人殺戮を非難すること

2004年4月15日
国際交流NGOピースボート共同代表 櫛渕万里


この声明に関するお問い合わせは...
ピースボートセンターとうきょう・担当:木下
(Tel:03-3362-6307/Fax:03-3362-6309/ウェブサイトからのお問い合せはこちら)
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